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針と文字盤

時計のしくみ(1)

腕時計の文字盤上の針がどのような仕組みで回転しているのかを紹介します。3DグラフィックソフトはShadeを使用しました。

針と文字盤

典型的なスモールセコンドの3針時計
(解説用に一部ディフォルメ)

文字盤の下には時計のムーブメントがあり、ゼンマイの動力で歯車達が回り、この歯車に取り付けられている針が回転しているのです。

文字盤
時計の顔。文字板(もじいた)、ダイヤル、フェイスともいいます。
分針、時針
時計の中心に位置しています。分針は二番車に付けられています。
秒針
6時の位置に秒針をスモールセコンドといい、古くからの基本構造で、四番車に付いています。
輪列
ゼンマイの動力で連動する歯車の列を輪列といいます。

時針がゆっくり回転するしくみ

二番車の回転が減速する仕組み

スピードの異なる「分針」と「時針」は同じセンターに位置しますが、「分針」は1時間に1回転し、時針は12時間で1回転します。
「分針」の付く「二番車」の回転は、同軸の「ツツカナ(筒カナ)」と隣の「日の裏車」という歯車を通じて減速し、「ツツ車(筒車)」を12時間かけて1回転させます。
こうして「ツツ車」に付けられた「時針」はゆっくり回転するのです。

ツツ車の中心は中空の筒状で真ん中を分針の軸が突き抜けているところもポイントです。

回転数については、「歯車の輪列」を参照ください。 

時刻合わせ

時計が動いている状態
リューズを引いて時間を合わせている状態

ゼンマイの力で歯車や針は常に動き続けています(赤矢印)。この状態でリューズを使って時刻を合わせることになるわけです。

ツツカナと二番車の真ははめ込み式で、普段は一緒に回転しますが、リューズを引いて時刻合わせする時には強制的にツツカナを回します(青矢印)。ここで、二番車の真は同じスピードで同じ方向に回転し続けるため、ツツカナ内部の接点はスリップするのです(点線矢印)。

ツツカナ拡大図

この接点がきついと時刻合わせの時に歯車に強い圧力が加わってしまいますし、ゆるすぎると針は正しく動かなくなります。

リューズの切り替えのしくみは「リューズの役割」を参照してください。