60年代オメガ シーマスターレディースの復刻

Reproduction of 60's OMEGA Seamaster Ladies

オメガ シーマスター レディース
  
オメガ シーマスター レディース

オメガ レディース

機械式のレディースウォッチがほとんどない現在。しかし、60年代のオメガは、婦人用の優れた小型ムーブメントを自社開発していました。今回、身近の人に贈るために、代表モデル、シーマスター・レディースを完全復刻しました。

パーツの収集

純正部品をネットオークションeBayで収集しました。

文字盤、針

純正文字盤(ダイヤル)
直径21ミリの小さい文字盤。NOS品。
純正の針
cal.640系用の針。

ケース

ケース
エッジも鋭いデッドストック品。25×30ミリ
裏蓋
シーホースの刻印

ムーブメント

17石の中級機ですが、70年代に開発された高振動モデルなので精度が出しやすいです。

オメガ キャリバー683
出荷状態のストック品
直径17.5mm、17石、21,600bph(5.5振動/秒)、40時間駆動。
680シリーズ仕様一覧
キャリバー 石数 振動数
(bph)
日付 その他
670 17石 19,800
671/672 24石 19,800 クロノメーター級は672
680 17石 19,800
681/682 24石 19,800 クロノメーター級は682
683 17石 21,600
684/685 24石 21,600 クロノメーター級は685

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ムーブメントのオーバーホール

70年代のストック品は油も凝固しているはずなので、まずはオーバーホールをします。

自動巻き機構 ゼンマイの開放 分解した輪列

極小の部品に分解されます。

ベンジンで超音波洗浄します。

超音波洗浄器 洗浄中 セルベットでふき取り

表輪列を組み立てます。カナやガンギ車の穴石にはオイルは注しません。

まっさらな地板 香箱、一番受け テンプ以外の組み立て完了

文字盤側の巻上げ装置を組み立てます。パーツ同士の接触部分や回転部位にオイルを注します。

文字盤側 オシドリ、カンヌキ等 メービスのオイル

インカブロック耐震装置の受け石の中心にオイルを付け、スプリングで地板に固定。ピンセットで飛ばしてしまうことがあるのでロディコを使いました。

耐震装置

カレンダー機構を組み立て、文字盤側に取り付けます。

カレンダーディスク カレンダーの組み立て中 地板に固定

直径2cmにも満たない極小ムーブメントのオーバーホールが終わりました。

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外装、針付け、ケーシング

ムーブメントの文字盤をかぶせ、サイドの2箇所のネジで固定します。針はアップライトのインデックスや針同士と重ならないように、慎重に付けます。

オリジナルの文字盤 文字盤の固定 時針、分針、秒針の順番に取り付け

ムーブメントは幅の広いプラスティック製のリングで保護します。
ステンレス製のケースは専門業者にお願いして美しく金メッキを施してもらいました。

ムーブメントリング メッキされたケース

プラスティック風防をベゼルで固定します。裏返してムーブメントを収めリューズを取り付けます。最後に自動巻きのローターを固定します。

ベゼルの装着 ケースに収めたムーブメント 自動巻きのローター

調整

ストック状態の精度は、歩度が約70秒/日、ビートエラーが4.7ms。小さいムーブメントなので調整は難しいですが、プラス30秒程度を目標にします。

準備中

完成

トカゲの中でも高級なテジュー(イグアナ)をストラップに採用。微妙なうねりが個性的で、細かいウロコ模様はレトロなモデルに似合います。色はゴールドブラウン。

レザーベルト ケースバック 完成

裏蓋にはシーマスターのトレードマーク、シーホースの浮き彫り。スクリューバックではないですが、プラスティック製の太めのガスケットと密閉性の高い裏蓋は、防水性は高そうです。

完成した腕時計をケースに収めました。

大きめに見えますが、横幅わずか25ミリのレディースサイズです。
エッジの効いたフォルム、サテンとポリッシュのコンビネーションが古のオメガのクオリティの高さを感じます。

風防の真ん中にはオメガマークの透かしも見えます。