オメガの音叉式時計エレクトロニック

OMEGA ELECTRONIC f300

スポーティなプラスティック風防、直線イメージのシンプルなデザイン

赤くマーキングされたオメガマークが特徴的。クロノメーター認定。300Hz。赤い秒針はなめらかなスイープ運針

ブローバ製音叉式ムーブメント
ビンテージの機械式、現代の無機質なクォーツのどちらにも見られない近未来的な雰囲気

エレクトロニック

70年代の珍しいオメガの音叉時計です。赤い秒針とオメガマークの周りの赤が、当時の近未来感を表現しています。

耳を近づけると、クオーツでも機械式でもない、音叉機構の「ビーン」という共鳴音がかすかに聞こえます。機械式の秒6〜8振動とは比べるべくもない300振動(300Hz)なので、クロノメーター認定も当然でしょうか。運針も非常になめらかです。

ブローバ製ムーブメント

ムーブメントは音叉式を開発したブローバ社製の22石です。

ブリッジに隠されている音叉

音叉を振動させる2つのコイルが上部のやや左よりに見えます。残念ながら音叉はムーブメントのほぼ全面を覆うプレートの下にあるため見ることはできません。

全体はオメガ特有の赤金にメッキされています。

音叉時計とは

世の中の時計の主流が機械式からクオーツ式変わろうとしていた時期に、音叉式のムーブメントが開発されました。音叉は電圧をかけると一定の音を出す、つまり一定の振動をします。小さな電磁石と永久磁石の反発力で音叉を振動させる「励振部(れいしんぶ)」と、その振幅運動で音叉に付いている「送り爪」が「ラチェット車」と呼ばれる歯車を1段ずつ送り出すことで、回転運動に変えているのです。

アキュトロンの名でブローバ社によって開発、1960年に販売された音叉式時計は、その後、ユニバーサル、オメガ、シチズン等が生産するようになりました。しかし、1969年にセイコーのクオーツ時計アストロンが発売され世界中を席捲したため、70年代に姿を消しました。

音叉式の時計は、機械式にないレトロなメカ感覚があり、クオーツの正確無比なクールさがないため、温かみが感じられます。

水銀電池

音叉時計は1.35Vの水銀電池を使いますが、環境汚染の問題から2000年に生産中止となりました。現在、このオメガのエレクトロニックは、水銀電池の電圧に近い1.55Vの酸化銀電池を使っています。電池はもって1年ですが、運良く正確に動いてくれます。シチズンの音叉時計などは酸化銀電池を使用すると進んでしまうそうです。