弓曳童子(ゆみひきどうじ)

Bow Shooting Boy

「からくり人形」は、同じゼンマイ仕掛けの「機械式時計」と古くから深い関係があります。そのメカニズムは、クロノグラフやパーペチュアルカレンダーなどの複雑時計にも通じます。そこで、ここでは有名なからくり人形を紹介します。 組み立ての過程はこちらを。

からくり人形の最高峰

「弓曳童子(ゆみひきどうじ)」は、その複雑な動きから最高峰のからくり人形として知られています。江戸時代末期の発明家「からくり儀右衛門」こと田中久重が作成しました。この人形は、現代のからくり人形師九代目玉屋庄兵衛氏が特別監修し、学研「大人の科学シリーズ」で再現されたものです。

高さ25cm

驚くべきことに、自ら矢を掴み、弓を引き、矢をはなちます。4本の矢を連続して射ることができます。

弓を射る動き

ゼンマイの動力と7組のカムとカム板ですべての動作を制御します。カム板から伸びた糸が腕や肘、首などに連動して、以下のような弓を射る一連の動きを行います。実際の動きは、とてもやわらかく緩やかで、表情もとても豊かに見えてきます。

矢をつかむ

矢をつがえる

弓を引く

矢をはなつ

からくりとオートマタ

ゼンマイ仕掛けでカムや歯車で複雑な動作をする人形を日本では「からくり人形」といいますが、ヨーロッパではオルゴールと連動し「オートマタ」と呼ばれています。先に書いたように、「時計」と「からくり」は同じゼンマイ仕掛けであることから、古くから関係がとても深いです。時計技術の精緻な技術は人形制作にも通じ、有名なオートマタの製作者ジャケ・ドローは、時計師としても有名です。「弓曳童子」を製作した田中久重も、日本の不定時法を自動調節する複雑時計「万年時計」を製作したことでも知られています。